戦後69年…実写化も決定!いまこそ見よう、読もう…「火垂るの墓」
広島・長崎原爆祈念式典を終え、あとは15日の終戦記念日を待つばかりになりました。
個人的には、戦後70年を迎える来年2015年1月に放映が決定した
艦隊これくしょんのアニメ化がいろいろな意味で感慨深いです。
筆者はわりと宮崎駿監督に近い思想というか考え方で、
兵器は好きですが(特に戦闘機!笑)戦争は好きじゃありません。
戦争していればまずできないこと、それがアニメやゲーム、漫画の力だと思います。
さて、ジブリの話題ですが、今回も「原作を読んでみようシリーズ」です。
今までの話で「あっ」と思った方もいるでしょう。
そうです。
今日、紹介するのは「みんなのトラウマ」と名高い
火垂るの墓です。
「なんだかんだうまくまとめて、ホロリとこさせる」のが宮崎駿監督の手法ですが、
高畑勲監督の作風は「いきなり殴りつけて、その痛みについて泣きながら考えさせる」というのが
一番わかりやすいと筆者は勝手に思ってます。
トラウマというより、個人的には胸糞悪くなる…というのが正解かもしれません。
さて、火垂るの墓ですが、みなさんご存知とは思いますがこれも原作となった短編小説があります。
野坂昭如先生の直木賞受賞作です。実は直木賞作品なんですよ。
同タイトルですが同時に受賞した「アメリカひじき」と主に収録されています。
また、世界的にも(主にジブリ映画の影響で)評価されており、
公開はまだ未定ですが、今年からイギリスで実写映画化も予定されています!
「火垂るの墓」は野坂先生の自叙伝的なものと、たまに紹介されていますが、厳密には違います。
確かに野坂先生には妹がおり、関西で空襲に遭います。
そのときの行動などはほとんど同じだそうです。
しかし、実際野坂先生の妹は二人おり、どちらも血のつながりはありません。
上の妹は、大規模に空襲が行われている前に病死しており、
下の妹(節子のモデル)は当時まだ1歳前後です。
三宮の伯母さんも出てきますが、実際は三宮では野坂先生はそのあと北陸に疎開しています。
そしてなにより三宮において、野坂先生は伯母さんの娘さんに「恋」に落ちており
正直妹たちはどうでもいい状態になってたそうです。
(ちなみい劇中にその娘さん、出てきます。気になる人はチェックしてみましょう!)
北陸に移住した後にその妹さんは栄養失調を引き起こし餓死しています。
ある意味、節子を大事に思う清太兄ちゃんは、
あの頃「もっと妹を大事にすればよかったなあ」という
野坂先生の後悔や、理想の形なのでしょう。
それを知ったうえで読んでみましょう。
大丈夫です、悲しい運命に翻弄され死んだあの兄妹はいなかったんです。
というか、そう思ってないと正直頁をめくれません涙
内容はほとんど映画が忠実に再現しているので、だいたい同じです。
ただ、映画版とは違い、文章面では「なぜか」戦争中とは思えない人間臭さを感じました。
きっとそれは、戦中であったとしてもそこにいたのは
変わらない「人間の営み」であるからなのでしょう。
どんなに「トラウマ」とされていても、その当時を知るには、
その当時に生きていた人の作品を読むに越したことはないと思います。
そしてそこにいるのは「きっとその時に生きていた誰か」なのだと感じるのが、
これからを考えるのに大事なことだと思うのです。
読み終わった時に、何を感じるのか…
それはそれぞれの感性によると思います。
それも踏まえて、この夏に一度、考えてみるのもいいと思います。
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