歴史好きが「もののけ姫」の世界を勝手に考察! ~猩々って、なに?~


 

こんにちは。

日中とは裏腹に朝晩は冷えますね。

御嶽山の噴火もありましたし、心配です。

一方で、御嶽山の頂上付近で自衛隊救助ヘリのSH-60が限界高度を超えての

ホバリングをしたそうで、ジブリ由来のミリオタ(主に航空機)としては複雑な心境です…。

 

さてさて、ずっと続けていたもののけ姫考察ですが、もうちょっとだけ続きます。

今回書いておきたいのは、作中「自然側」の立場で登場したキャラクター・猩々たちです。

 

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真っ黒い大型の猿に似た姿をして、開拓され伐採されたタタラ場の周りに木を植えています。

アシタカを助けたサンに対し「オレタチ、ニンゲン、クウ」という強烈なセリフで印象に残っている人もいると思います。

 

猩々とは元来中国の伝説上の生き物です。いわゆるUMAですね。

また、オランウータンの和名・漢名でもあります。確かに見た目は似てますね。

ちなみにチンパンジーは黒猩々、ゴリラは大猩々です。

いわゆる霊長類の呼び名に使われていますね。

 

また、中国の文書「礼記」では「猩々は人の言葉を理解する」という文言があるので、

「もののけ姫」における猩々が人語を駆使するのはそこから来ていると推察されます。

 

日本における猩々で有名どころはやはり能でしょうか。

能の五番目物に、そのまま「猩々」という名の演目があるほどです。

あらすじは長くなるので省きますが、その中で猩々は人の姿をしており、

海に住んでいるという設定です。

中国における猩々とはまた違う、神の一種のような描かれ方をしています。

 

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能面でも猩々の面がありますが、こんな感じで結構不気味です^^;

 

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以前、どこかの考察で「もののけ姫における猩々は、タタラ場の下流にある土地の人間たちだ」

という文章を読んだことがあります。

タタラ場はいわゆる製鉄所です。今のような公害という概念がない時代、

製鉄の過程で生まれた有害な水を、タタラ場はそのまま垂れ流していた。

そしてそれを飲んだ下流の土地に住む人々の多くが奇形児を生んでしまい、

村そのものが差別されるようになった=タタラ場のせいで居場所がなくなった人々。

という概説でしたが、読んでいてなかなか面白かったです。

 

出典を探したのですが見つからないので、少し齟齬があるかもしれませんが、

モロやその子、サン達のように戦うこともできず、今ある現状(自然と立ち向かうタタラ場)に

翻弄されっぱなしの猩々たちは、もともとは自然とともに生きていた人間だったのではないかという考察です。

すべての人間がタタラ場のような施設を望むわけではない、という視点で

見ると、とても面白い考察だと個人的に思います。

 

アシタカやサンのようなポテンシャルを持つことなく、恐れ、怒りを表すことしかできない、

また排他的な部分(主にサンに対して)を持つ保守的で若干鬱陶しい猩々ですが、

そういった「役目」を持ったキャラクターであることを確認しながら見ると

また一段ともののけ姫の世界に厚みを感じることができると思います。

 

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