絶えないトトロ死神説と火垂るの墓の因果を勝手に考察してみた。


 

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となりのトトロの話を探していると

必ずぶち当たってしまうもの…

 

それは「トトロ死神説」

 

様々なパターンがありますが、定番なのは

「実はトトロにあった時点でさつきもメイも死んでいた」

というもの。

 

いつごろからかはわかりませんが、

おおよそインターネットが完全普及した

といっても過言ではない2007年前後に、

インターネット上でまことしやかに流れた

まさに「都市伝説」です。

 

基本的に創作したものに対して、

「受け取り手の想像重視」というスタンスをとっている

スタジオジブリですが、

さすがにこの噂には手を焼いたのか、

公式ではっきりとこの説を否定しています。

 

個人的にはこの説はあまり好きではなかったので、

その点公式による注釈は有難かったです

(一部の人の中には「想像を阻害する」という見解の人もいるようですが…)

 

でも、創作の世界において「神の言葉」とさえ思える

このスタジオジブリ(公式)の注釈を持っても、

この噂は絶えることはありません。

 

先日もツイッターで「トトロ死神説」を唱える

ツイートを見つけました。

 

どうしてこのような噂が出てしまうのでしょう?

そして、この噂はいったい誰が言い出したことなのでしょう?

 

確かに「悪者」が出てこないトトロの世界で、

トトロが一概に「みんなのヒーロー」である必要はないと思います。

 

大人になったら見えなくなる、ということも、

そういうことと繋がっているのかもしれません。

 

トトロをクスノキそのもの=自然そのもの、

という考え方をすれば、自然は私たちを生かす

重要なファクターであるとともに、

時には恐ろしい牙を剥く存在であることである

という結論を出すこともできます。

 

そんな中、筆者はあることに気がつきました。

「となりのトトロは火垂るの墓と抱き合わせだった」

という事実です。

 

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今では考えられないことではあるのですが、

昔、映画は抱き合わせでやるものが多かったのです。

 

筆者の母も手塚治虫の不朽の名作

「ジャングル大帝レオ」の劇場版を見に行ったところ、

 

抱き合わせで特撮怪獣映画である

「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」をやっており、

 

そっちの方がよっぽど怖かったがために

悲しきかな「レオ」の内容をサッパリ覚えていない

という悲惨な経験を持っています。

 

(サンダ対ガイラは今未曾有の人気を誇っている

「進撃の巨人」に多大な影響を与えた作品としても有名なので、

進撃の巨人的な怖さがあると思ってもらうと

わかりやすいかもしれません)

 

話をトトロに戻しまして。

トトロと抱き合わせになっていたのはあの「火垂るの墓」です。

火垂るの墓についての説明は、最早しなくともわかると思います。

 

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一言でいうなら「トラウマ映画」です。

もちろん、火垂るの墓はトトロと抱き合わせても

恥ずかしくない、良い作品です。

どちらも季節は夏ですし、

兄弟姉妹を描いているという点で共通点もあります。

 

筆者は火垂るの墓批判をしたいわけではないのです。

 

この両作品を1日の、それも短時間に

いっぺんに見てしまったらどうなるか、

という話です。

 

まず確実に、トトロは吹き飛ぶと思います。

いや確かにトトロは駒使って飛んでましたが。

 

ここまで考えて筆者は勝手に妄想したのです。

 

「トトロ死神説」は、同時上映された「火垂るの墓」を

先に見ちゃった人が最初に言い出したに違いない!」

 

当時の映画の公開体制は、

AとBという映画を同時上映するとしたら

A→B→A→…といった具合で、順番に上映します。

 

トトロを見て火垂るの墓を見るか、

火垂るの墓を見てトトロを見るか、

どちらがいいかという話は割と定番ですが、

これはまさに「どうあがいても、絶望」ですよ。

屍人もびっくりですよ。

 

とりあえず、トトロを見てから火垂るの墓を見てしまったら、

まずトトロどころではなくなると思います。

これはこれで悲劇です。筆者の母パターンです。

ではその逆はどうか、という話です。

 

火垂るの墓を見て呆然とした中、

突然始まるのは、節子と大して年の変わらない

メイちゃんが歩くOPに始まり、

舞台は焦土と化した大阪・兵庫から打って変わって、

緑あふれる東京郊外、埼玉の狭山丘陵…

 

もし、もしもです、

何も知らない状態で火垂るの墓を見て、

そのまま何も知らずにトトロが始まったとします。

 

疑います。まず間違いなく。

こんなハートフルな終わり方

するわけないと思うはずです。

 

我ながらへそ曲がりですが、

まったくトトロの話を知らなかったら、

まず疑うと思います。

 

「この、トトロなる生き物は本当に人間に友好的なのか…?」

 

と、ここまで書いてみたのですが、

ここでとても悲しい現実的な話です。

 

そもそもなぜ、トトロが火垂るの墓と抱き合わせに

なったかというと、企画書の時点で徳間書店が

「この設定は地味」と単独上映をためらった

という背景があったからです。

 

今でこそ名作として毎回お化けのような

視聴率をたたき出すトトロですが、

よく考えてみれば特に大きな事件もなく

(メイはいなくなるけど)

舞台も「つい最近までそこらじゅうにあった景色」なのです。

 

地味です。言われてみれば。

 

そのため、高畑勲監督とすでに原作作品があり

動員が見込める「火垂るの墓」と共同で製作、

上映する運びとなったのです。

 

しかし、やっとの思いで上映されたこの

1988年「ジブリ作品」は、

徳間書店が恐れていた事態を正夢にしてしまいます。

 

興行収入わずか11.7億円、全国動員たったの80万人…

これがどれだけ少ないかは、

最新の宮崎駿監督作品の「風立ちぬ」と比べると分かりやすいです。

 

ちなみに「風立ちぬ」は上映から2日間で興行収入9億超え、

観客動員74万人と映画史に残るスピードで達成していきました。

 

つまり、トトロは風立ぬに2日でほとんど抜かれてしまったのです。

 

まあ、この失敗があったために翌年公開の

「魔女の宅急便」が生まれたので、

一概に悪いことではなかったのですが、

 

ここで大事なのは

「火垂るの墓とトトロを見ていたのはたったの80万人」

ということです。

 

1988年の日本の総人口はおおよそ1億2200万人です。

10%もないのです。

 

学校の1クラスが40人として、

4人見ている子がいれば多い方です。

 

また、大概は親と一緒に見に行くだろうなので、

パーセンテージは一気に下がります。

 

そうなってしまうと、

とうとう「トトロ死神説」はヤッパリ平成になって、

みんながトトロを見るようになってから生まれた

「ネット都市伝説」なのだと言わざるを得なくなります。

 

また、諸説の中には2001年に清水正氏により出版された

「宮崎駿を読む」という書籍が根源という説もあります。

 

またもやガックシ…

 

個人的には「これは!」という発見だったのですが、

調べてから3分程度であっさり

打ち砕かれてしまった

はかない夢だったのでした…。

 

それでも、こういった「深読み」は

今後も続けていきたいと思いますので、

「またか」と思いながらも

お付き合いいただければと思います!

 

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